8月3日の読売新聞長野版にまた私のコラムが掲載されます。
旅館の「目線」の事を書きたかったが、大分編集されました。編集される前の私が書いた文章は下記です。プロの編集されたバージョンは3日の新聞にて!
For my regular column in the Yomiuri Shimbun's Nagano edition, I wrote a piece on various points of view concerning Japanese inns. Much of what I wrote got edited away, but below is the non-edited version.
Basically, I wrote about how the sitting area of many ryokan guest rooms is dropped down 1 step so the eye levels of the people sitting on the chairs there, and that of the people sitting on the tatami mat floor are the same height. A student of Frank Lloyd Wright named Arata Endo first set that trend in the process of making the Honenmushi wing of the venerable Sasaya Hotel here in our onsen town, Togura Kamiyamada.
Other examples of points of view I used were how low the entrances are to rooms, with the reason being that makes is more difficult for enemies to wield their katana swords (something I get to think about every time I bump my head) and how the handles for the sliding 'fusuma' doors are so low, since the proper way to open them is from the kneeling 'seiza' position rather than standing up. Unfortunately, my samurai-related comments got edited out as being unsubstantiated, which feels like a smack to the forehead...
「旅館で目線を」
旅館に泊まった時に畳の部屋に隣接している縁側(ベランダ)が一段下がっている事を気付きましたか?。何故か説明する前に、少し「目線」の話を。
私は身長2mで背が高いです。通常の和室の入り口の高さが180㎝で、肩が当たります。(そうです。頭じゃなくて、肩!)何度も痛い思い出をした中で、昔の日本人の平均身長が低かったから襖の明け口が低いのかなと思いました。しかし、先輩に聞いたら「違うんだよ。戦国時代で敵が来ても刀を回せないようにあえて入り口を低くした」と言われました。なるほどですね。あれから、扉に当たるたびに侍を思い出します。目線を変えれば、クールジャパンです。(それにしても、痛い…)
襖の作りでもう一つ気になるのは引手の位置です。自分は背が大きいから余計に感じるかもしれませんが、普通な扉の取っ手の位置よりはるかに低いです。また先輩に聞いたら、「違うんだよ。襖の開け閉めは正座で。」なるほどですね。立ったままですと、引手の位置が低いですが、正座したらちょうど良いです。目線を低くすれば、礼法に則るし、日本らしい上品の姿になりますね。
この戸倉上山田温泉で笹屋ホテルと言う老舗な宿があります。中に豊年虫と言う別棟があります。遠藤新が設計して1932年築の登録有形文化財です。遠藤氏がアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの弟子で、私の想像でライト氏が「和室は良いけど欧米人が床に座るのに慣れていないので椅子も欲しい」とアドバイスをしたでしょう。そうすると問題は椅子に座る人が椅子の高さの分で床に座る人と目線が合わなくなってしまいます。遠藤氏の発想で、椅子の所を一段下げた訳です。うちの宿の客室の大半もそうですし、日本全国の旅館にもそれが真似されて縁側が畳の部屋より一段下がっています。目線を合わせる為です。
今度、旅館に泊まる時に襖の高さや引手の位置、ベランダを見てください。目線によって新しい発見があるかもしれません。